お金が動く仕組みの為替レートを円安・円高も踏まえ紹介します。

円高・円安とは

お金の背景と黒いクエスチョンマーク

円高・円安とは、為替レートで海外の法定通貨と交換する際の日本円のレートが高いか安いかを表すものです。
対米ドルの場合は円高ドル安・円安ドル高と呼び、米ドルやユーロなど主要な通貨に対して円高・円安に動いた場合、他の外貨との交換レートも同様の方向へ動くことが多いです。

 

資産運用をする上で円高・円安は非常に重要ですので、為替レートの変動はどのような仕組みでお金が動いているのか理解しておきましょう。

 

為替レートの変動要因

為替レートの変動要因は大きく分けて実需と資産運用の2種類があります。
実需は海外旅行や海外の企業と取引をする際の決済に使うための外貨両替。
資産運用はその法定通貨を使える国の国債や株式、預貯金で運用するお金の流れです。

 

為替レートの変動に大きな影響を与えるのは資産運用による資金流動で、特にリスク判断の影響を大きく受けます。

 

日本円は世界屈指の安全資産

円高・円安へ与える影響がもっとも大きいのは世界的な経済リスクで、基本的にリスクオフ(リスクを回避する動き)になると安全資産と呼ばれる日本円を買う動きが高まって円高になります。
資産運用に興味がある方なら、日本円は安全資産という話を聞いたことがある人が多いでしょう。

 

日本円が世界屈指の安全資産と呼ばれるには次の2つの理由があります。

  • 日本は対外純資産世界1位
  • 日本人の預金率は先進国1位

 

対外純資産は主に日本以外の外国債券や外国通貨のことで、日本は対外純資産が多いため日本円そのものの価値が下落しても対外資産を売却してカバーすることができます。
また、日本人は先進国の中で預金率が飛び抜けて高く、銀行へまとまった資金を寝かせている人が多いです。
日本銀行の資料では2020年3月時点における家計の金融資産構成は現金・預貯金が54.2%で、アメリカ(13.7%)、ユーロエリア(34.9%)を大きく上回っています。

 

参考元URL:日本銀行 資金循環の日米欧比較

 

お金にかこまれたサラリーマンの置物

こうした2つの要因から日本円は米ドル・ユーロなど主要な法定通貨に比べてデフォルトリスクが低く、リスクオフの動きが強まると円買いが活発になって円高に動きやすいです。
本邦(日本)輸出企業の円買いなど実需による注文で為替ルートが動くこともありますが、中長期的には世界経済のリスク要因で為替レートのトレンドが形成されていきます。

 

日本経済へ与える影響

円高になった場合は輸入企業が儲かって輸出企業の利益が減少。円安になれば逆の現象が起こります。
日本は自動車、半導体産業を中心に輸出が強い貿易黒字国です。
円高になった場合は輸入企業の個別株が値上がりすることがありますが、主要平均株価指数や経済全体はマイナスの方向へ動きやすいことを覚えておきましょう。

 

自動車メーカーなど輸出に強い大企業の業績が悪化すると、下請企業など関連会社の業績が低下、影響を受けた企業の従業員が消費を抑制されて小売業界も衰退、銀行の貸し倒れ増加など様々な悪影響が波及します。
日本経済全体で見た場合は、円高よりも円安の方が良いことを覚えておきましょう。